神武天皇伝承への挑戦 第六回 生駒山の決戦

はじめに

『日本書紀』編さん1300年を記念して、4月の新型コロナ非常事態宣言を契機にユーチューブで、ガイダンス編+12回=13回にわたりオンライン講座(ふくおかアジア文化塾で検索ください)を行いましたが、そのとき用いた資料を公開いたしますので、ご自由にご活用ください。

このガイダンス編では、『日本書紀』の成立など基本的なことを述べています。ご承知のとおり、現在の学校教育では、小中高校で『日本書紀』を学ぶ機会はありません。『古事記』もおなじです。『古事記』と『日本書紀』(以下、記紀といいます)は、戦後歴史の世界から追放され、記紀を論じるだけで戦前の「皇国史観の亡霊」あるいは「保守反動の輩」呼ばりされる時期もありました。論じるにしても、主観的な読み替えを行って自分の説を正当化する目的で使用されることも少なくありません。『日本書紀』の記事を否定するためにのみ使用する人も少なくありません。『魏志倭人伝』を右手に掲げ、日本の文献は足元に踏みつけて論じる人が主流となっています。

戦後80年に迫ろうとする令和の時代に、このようなことを続けていいのでしょうか。戦後の総決算は、歴史の分野で行われてこそ、戦後は終わります。

記紀など日本文献の復権こそ、新しい時代の燭光となります。このような気持ちで、微力ながら神武天皇伝承に挑戦いたしました。不遜な試みではありますが、どうかよろしくお願いいたします。


講座内容(全12回)

第 1回    日向から宇佐へ

第 2回    北部九州の足跡①

第 3回    北部九州の足跡②

第 4回    瀬戸内海をゆく①

第 5回    瀬戸内海をゆく②

第 6回    生駒山の決戦

第 7回    紀伊の道

第 8回    熊野の道

第 9回    吉野から橿原へ①

第10回    吉野から橿原へ②

第11回    新しい妃

第12回    「欠史八代」と母系制

それぞれの回ごとにユーチューブと連動しています。記紀の記事を基本に、地域に残された伝承についても収録しています。もちろん、取りこぼした地域伝承もあるかとおもいます。その場合には、このブログにご一報ください。皆さんとご一緒にバージョンアップできれば大変喜ばしいことです。

このガイダンス編では、『日本書紀』の成立に至る経緯、編さん委員会などについてとりまとめています。『日本書紀』には中国の暦によって等多くの年月日等が記されていますが、古天文学の発達により、各巻ごとに用いられた暦の分析が行われています。また、京都産業大学教授の森博達氏による「言語学的分析」の結果と、暦の分析が各巻ごとにほとんど一致しています。これは何を物語るのか。実に興味深い分析結果になっています。

講座内容について

結論からいえば、『日本書紀』の雄略天皇以前の年代はほとんど信ぴょう性がありません。神武天皇が紀元前660年に即位したなどあり得ることではあり得ません。古典的な年代論では、日本はいまだ縄文時代です。

しかしながら、この年代論の誤りを拡張して、『日本書紀』の記事内容まで否定・抹殺することは行き過ぎたものとおもっています。『日本書紀』の年代を科学的・合理的に補正すれば足りることです。その第一人者である安本美典氏の「統計的年代論」を紹介しています。そして、天皇の在位年代『日本書紀』と「統計的年代論」の比較表を作成していますので、ご参考にしてください。


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720年に『日本書紀』は完成しましたが、翌年から勉強会――『日本紀講筵(にほんぎこうえん)』が国家的行事として開催されました。721年(養老5年)~965年(康保2)まで約30年ごとに計7回開催されました。

いずれにしても、大和朝廷を創設した神武天皇と邪馬台国の卑弥呼との関係は、日本の古代史を解明するうえでも最も重要な問題の一つです。

実は、神武天皇東遷問題も、邪馬台国の問題も、実は1000年前にすでに解決しています。『新唐書』日本伝のなかにその結果が書かれています。大唐帝国の統一見解であり、第三者による判断です。遣唐使からの聞き取り調査等によって、はじめて「倭」と「日本」が統合されました。何ゆえか、岩波書店の「中国正史日本伝」には収録されていませんが、ぜひお読みいただきたい極めて重要な資料です。

最後に、「神武天皇聖蹟調査報告」【1942(昭和17)・文部省】を紹介しています。

昭和15年の皇紀2600年記念事業の一環としてまとめられた報告書で、神武天皇伝承地に関する一級資料とおもっています。毎回、関係個所を紹介いたします。

末尾には北原白秋の『海道東征』も紹介しています。最近再評価の気運が高まっており、各地でコンサートも開催されています。

なお、産経新聞取材班による『神武天皇は確かに存在した』(産経新聞出版)と重複する部分もあり、図版等についても借用している部分もあります。わかりやすくまとめられた良書で、併せてご購読ください。

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