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邪馬台国研究における非破壊・総合的フィールド調査の試み
※本記事は現時点での調査方針と位置づけをまとめたものであり、 特定地点の断定や発見を主張するものではありません。
「女王国科学調査」とは、邪馬台国(魏志倭人伝に記される女王国)の実像を解明するために、文献史学・地理・地形・神話伝承・現地踏査など、複数の知見を総合しながら行う、非破壊的かつ段階的な野外調査活動である。
本調査は、特定の場所を断定したり、発掘や掘削を前提としたものではない。既存史料と現地環境を照合し、まず始めに学術的に検討可能な「候補地群」を整理・検証することを目的としている。
最重要調査対象について ― 仮称「サイトQ」
現在の調査では、福岡県内において、
- 歴史的記録
- 地理的条件
- 神話・伝承の分布
- 既往研究の蓄積
を総合した結果、我々の方針の元で特に蓋然性が高いと考えられる地域群が浮かび上がっている。その中でも中心的に検討しているエリアを、便宜上 仮称「サイトQ」 と呼んでいる。ただし、「サイトQ」は正式名称ではないし、単一地点を断定するものではない。また、現時点では「検討対象の一つ」に過ぎない
しかし、当該地域は我々の最有力候補かつ、続々と新たな探索・候補ポイントが見つかっている。しかしながら、アクセスが困難かつ広大であり、短期間・単発の調査で結論が出るような場所ではない。
なぜ「科学調査」なのか
邪馬台国研究は、長年にわたり多くの学説が提示されてきたが、その多くは所謂「学者は足が動かない」の状態である。
- 文献解釈のみを重視する立場
- 特定の遺跡や地域を前提とする立場
- 神話・伝承のみを重視する立場
女王国科学調査では、これらを単独で扱うのではなく、
「史料に書かれている内容が、実際の九州北部の地形・地理・動線とどの程度整合するのか」
という観点から、総合的に検討し実地調査する。この意味で「科学調査」とは、最新技術を誇示するものではなく、理論仮説と現実での検証を繰り返す姿勢を指している。
非破壊・段階的調査という方針
女王国科学調査では、発掘や掘削を目的としない。理由は明確である。文化財保護・法令順守、学術倫理の観点、調査段階における必要性の問題からである。

現段階で重点的な調査項目は、
- 地形・地勢の把握
- 周辺環境の記録
- 文献記述との対応関係の整理
- 科学技術を利用した精密座標測定やドローンや磁気探査などの観察方法の確立
- 土壌や岩石サンプルの調査技術の確立
といった、破壊を伴わない基礎的調査およびその技術調査である。これは「慎重すぎる」のではなく、研究として当然の順序である。
また、我々は現段階で興味本位の素人を全く必要としてもいない。
女王国科学調査隊とは
女王国科学調査隊は、特定の結論を喧伝したり資金獲得するための組織ではない。
- 邪馬台国の実像に関心を持つ
- 文献・地形・技術を横断的に扱う
- 検証可能な形で記録を残す
こうした姿勢を共有するための、研究活動の枠組みである。各回の調査(第◯次調査)は、その時点での検討内容や到達点を整理した「中間記録」として「ふくおか邪馬台国探索プロジェクト」の中核的活動として位置づけられる。
なぜ今、こうした調査を行うのか

邪馬台国は、日本古代史における最大の未解決問題の一つである。しかし、その議論は時に感情的になり、「断定」や「否定」が先行してきた側面が大である。女王国科学調査は、
分からないことを分からないままにせず、分かっていることと分かっていないことを自分の目で丁寧に見てみる。
という、ごく基本的な姿勢から出発している。結論を急がず、一つずつ科学的検討を積み重ねることが最上の価値である。